えずこホール開館20周年記念事業 えずこせいじん博覧祭

えずこ・ はねっこ全館かえっこ

あずなびあまつり

2016.9.19

事業概要



あずなびあ(視聴覚教材センター)とえずこホールの共同企画。恒例のかえっこバザール開催。
思い切り遊べるブース、コーナー満開。みんな、いらなくなったおもちゃをもって集まれ!

    アーティスト プロフィール

  • 藤 浩志(美術家)
    京都市立芸術大学大学院美術研究科修了後、パプアニューギニア国立芸術大学講師。バングラデシュビエンナーレ(グランプリ受賞)、サイトサ ンタフェビエンナーレ(米)、瀬戸内国際芸術祭等の国際展の出品をはじめアジア各地、国内のアートプロジェクトへの参加多数。秋田公立美術大学教授

    〝かえっこ〟に熱狂した、えずこの1日

  • 「あずなびあまつり」とは、これまで同地域で開催されてきた「視聴覚教材センターフェスティバル」が、名称とともにリニューアルした新イベントのこと。仙南2市7町の教育委員会が共催し、名作・短編映画会ほか地域の優れた教材、視聴覚の魅力を広く地域の皆さんに知っていただこうと開催する参加・体験型の楽しいイベントです。

    イベントの特徴は、いらなくなったおもちゃやアクセサリーをポイントに交換できる「かえっこ」システムが、同イベント中に開催されるほぼすべてのプログラムとリンクしていること。

    「あずなびあまつり」が開催されたのは9月19日。会場はえずこホールと、隣接したはねっこアリーナ。この日はおよそ2000人の参加者がイベントを楽しみました。イベントのメインは「かえっこバザール」。使わなくなったおもちゃを子供たちが持ち寄り、「かえっこバンク」でポイントに交換するのですが、面白いのはおもちゃの査定を「バンクマン」と呼ばれる子供たち自身が行うこと。そしてそのポイントを使って、持ち込まれたおもちゃの中から欲しいものを選んで交換できるのです。

    この日の「かえっこバザール」の会場は、開場とともに大盛況。まさに足の踏み場もないほどに、子供たちでごった返しました。みんな懸命にお目当てのおもちゃを探しいていました。が、持ってきたおもちゃで得たポイントだけで、欲しいおもちゃと交換できるわけではありません。時には足りない場合も。そんな時は、会場内で行われているさまざまなイベントや、お仕事紹介所で紹介されたお仕事を手伝うことでポイントを入手できるのです。

  • 開場前からえずこホールに集まる参加者

    かえっこポイント

    目当てのおもちゃを探す

 大盛況のかえっこ会場

  • ちなみ、今回行われていたイベントは以下の通りです。

    紙芝居でいいお話、16ミリ映画でいい雰囲気、おりがみ&ぬりえコーナー、えずこせいじんお絵かきコーナー、おやつコーナー、アイス&ドリンク&軽食コーナー、えんげき絵本(ゲストアーティストかしわぎあきら)、ふうせんバルーンアート、粘土こねこね!メッセージカードづくり!ギター演奏もある!、ミニシアター(短編映画会)、きいて歌ってポイントゲット!、聴いて!弾いて!ヴァイオリン&チェロ、救急車出動!いのちを救え!心肺そせい術!、消化まとあてゲーム!、お仕事紹介所(ハローワーク)、のぞいてみよう太陽望遠鏡、えずっこひろば、ウェルカムコンサートinはねっこアリーナ、東京のゲストアーティストかしわぎあきらさんとみんなでウェーブをつくろう!、なげたり!あてたり!めちゃいけ!ニュースポーツ!、AZ9ジュニアアクターズメンバーとおどろう!、ジャグリング的?ワークショップ、よぉ〜いどん!ロディ取りゲーム、ロディぬりえコーナー、ロディといっしょにヨガ遊び、キャラクターを探せ!機器体験、あつまれ!ぬいぐるみ(出張かえっこバザール) 順不同

    と、こんな感じにイベントも盛りだくさん。各イベント自体も凝った内容なので、「家族連れで1日楽しめました!」という参加者の声も聞けました。

    イベント終了が近づいてきた15時10分には、「東京のゲストアーティストかしわぎあきらさんとみんなでウェーブをつくろう!」が中庭で行われました。演劇家・柏木陽さんの合図で総勢約200人のビッグウェーブが成功すると、大きな拍手と歓声が。参加者は50ポイントをゲットして、急ぎ足で大ホールへ移動。この日最後のイベント「オークション」が行われるのです。

    持ち寄られたおもちゃの中で「これは!」という逸品を、子供たちは貯めたポイントで競り落としていきます。「100!(ポイント)」「200!(ポイント)」と、子供たちが真剣な表情で競っていました。中にはなんと900ポイントを超えるものも。狙っていたおもちゃを手に入れ自慢げな子供、競り負けて悔しがる子供など、悲喜こもごもが詰まったオークションとともに、「あずなびあまつり」は終了しました。


  • 聴いて!弾いて!ヴァイオリン&チェロ

    AZ9ジュニアアクターズメンバーとおどろう!

    ウェルカムコンサートinはねっこアリーナ

    ——イベントは大盛況だと感じました。今の感想をお願いします。

  • イベント終了後、えずこホール[仙南芸術文化センター]所長・水戸雅彦さんと、20周年記念事業スーパーバイザーであり美術家の藤浩志さんにお話を伺いました(以下、敬称略)

    藤 水戸さん、今日の来訪者は何人だったの?

    水戸 最終的にはわからないけど2000人は超えていますね。参加団体も年々増えています。これまでのイベント「えずこと遊ぶ日」と、別途開催されていた視聴覚教材センターフェスティバルを統合し、仙南2市7町の教育委員会全体で取り組むようになったので、だんだん大きなイベントになってきています。

    藤 名前も「あずなびあまつり」になりましたしね。

    水戸 「あずなびあ」の「あず」は阿武隈・蔵王のこと。地元で活動する子供劇団「AZ9(あずないん)」は「阿武隈・蔵王の9市町村」という意味で、関連して呼びやすい名前をということで、公募で決まりました。「ナビ」はナビゲーション、「ビア」は「〜に向けて」という語だそうです。仙南地域に向けて視聴覚教材系の活動をナビゲーションして発展させていく、という意味を持つ造語なんです。

    ——イベントの規模が変わり、かえっこの仕組みにも変化がありましたか?
    藤 使う人、場所に応じて仕組みを変えていけるのが、元々のかえっこの特徴なんです。そういう意味でいうと、えずこの場合は積極的に変化しているように思えます。これだけの人数が集まれば大混乱も起こりますし、(おもちゃの量も質も)すごいものが集まってくるので、それを来場者にストレスなく、どのように楽しんでもらうかという点でかなり色々工夫していますよね。

    水戸 そうですね。当然渋滞も起こるし、そのためにクローク(おもちゃを預けておいて査定を持つシステム)を始め、いろんなスシテムを付け加えています。

    藤 今日の最後のオークションも、今までだったら、あの3、4倍のおもちゃがあって大変だったんですよ。それも新しい仕組み「カウントダウンセール(時間とともにおもちゃの値段が安くなっていく仕組み。早く入札した人のものになる)」で解消できた。ああいうのもすごくいいですね。ずっと継続開催していますから、地域の皆さんもイベントのことをよく知っていますし、集まりやすくなってきているので。

    ——来訪者がホールに親しむいいイベントだと感じました。
    水戸 このかえっこというシステムを使って、日頃ホールに来ない人に来ていただくこと。来ていただいた人にホールの裏から表まで見ていただくこと。つまりホールに親しんでもらうことです。今日もブースが30以上ありました。地元や遠方からいろんな人が出店しているんですね。それらをかえっこという仕組みを使って、短時間に凝縮して楽しんでいただけたらうれしいですね。

    藤 えずこホールはさまざまな活動団体を持っていて、その活動をPRするという側面もありますね。

    ——今回、イベントの中で特に大事にした点を教えてください。
    水戸 ただ楽しむだけでなく、新しい発見や体験という部分をすごく大切にしました。例えば地域の消防の方に来ていただいて、水消火器の的当てや救急救命のレクチャーなどを行っていただきましたが、あれも普通は体験できないですよね。救急車の中も普通は見られないじゃないですか。それを見るということだけでもすごい発見や体験になっていくし、しかも自分でやったら多分忘れないと思うんですよね、そういう体験をどのくらい用意できるかということをすごく大事にしました。

    藤 この10年間で、地域の人たちとの接点を作っていく、またはそういう拠点としての機能が強化されつつあるんだなあって思いましたね。

    水戸 これからホールは、独自の文化政策をやるだけではなくて、地域のいろんな社会機関と連携して、いろんな形でアートを振興していく、もしくはアートを使って地域を活性化していくってことを本気で考えていくべきだと思っているんですよ。そういう意味では、20周年を経て、ようやくいろんなものが機能し始めてきたなと思っています。

    (文:乾祐綺)

  • 次は何に参加しようかな♪

    消火器で的当てゲーム

    救急救護のワークショップ

    大ウェーブ大会に集まった参加者

    大盛況のかえっこオークション

 ホールの利用の新しい形が見えてくる一日