EZUKO THEATER



「場 所」

□1999年
第3回公演「場 所」
9月4日(土)19:00開演
9月5日(日)15:00開演


●3回目の公演は

えずこシアター名物の今年のコロスは風と花。 桜の木の下で語られるストーリーの語り手です。 遠い恋の思い出、桜の木の見た過去を せつなく表現します。

アーティストとのコラボレーション 第1回公演「境界」、アトリエ公演「三月一日午後七時」、第3回公演「夢 分」を経て、総勢54名で、第3回公演を迎えました。 仙南2市7町ほかから、中学生9名(AZ9ジュニアアクターズOB5名)、高校生 6名(AZ9ジュニアアクターズOB3名)、10代1名、20代16名、30代12名、 40代5名、60代4名、70代1名が参加しての上演となりました。

 この年度より、えずこホールは文化庁の助成を受け、「えずこ文化のまち 創造事業」をスタートさせました。ホールから飛び出して文化芸術の力で仙 南圏域を感動空間に変えていこうという新しい事業です。これまで住民の皆 さんがえずこホールで積み上げてこられた礎をさらに圏域に拡げていきたい と考えつつ、えずこシアターの第3回公演もこれまでにない試みとなりまし た。

 宮城を中心に世界で活躍している、音楽家、建築家たちとのコラボレーシ ョンでの作品づくりを行ったのです。

 舞台装置は2000年のヴェネツィア・ビエンナーレに招待され世界各地で 活躍中の新進気鋭の建築家阿部仁史氏。音楽は宮城の人なら知らない人はい ないであろう、同県の芸術選奨新人賞を受賞された榊原光裕氏。そして、生 演奏で芝居を盛り上げてくれたアーティストは、マリンバ奏者でパーカッショニストの星律子氏と菊地みずえ氏、ヴァイオリニストの柴生田桂子氏です。

 特に舞台装置は、東北工業大学阿部仁史研究室の学生たちの全面的なご協 力を得て、現場での緻密な作業を数週間にわたって続けての完成となりまし た。

 えずこシアター名物「コロス」たちの動きも、生演奏によって一回一回魂 のこもったものに変貌を遂げていきました。アーティストたちのすばらしいパフォーマンスと作品を完成させるための熱意や努力を目の当たりにしたこ とは、メンバーにとって大きな糧となりました。

●「場所」におもう

白い箱は会社のロッカー、棺桶、戦災で焼かれた瓦礫へと 次々と形を変えていきます。 写真は会社のロッカールーム。

人は、いつも自分の居場所を求めます。
その場所の正体はいったい何なのでしょうか。
出会って、壊れて、繋がって、崩れて…。
私たちの毎日はその繰り返しです。
だれかと手と手が触れあった時、
だれかと言葉を交し気持ちが通じ合った時、
だれかの笑顔が自分に向けられた時、
自分の場所は見えてきます。
そんなことを描いたのがこの作品「場所」です。

えずこシアターの約3年半になる試みは
まるで昔のお祭りの一部始終と似ています。
地域の人々があうんの呼吸で
得意分野の役割を担って準備をし
みんなが日常から抜け出して
飲んで食べて唄って踊り それぞれに魂を遊ばせる。
そこでは、互いが老いも若きも
一人の人間として尊い存在です。
そして
「この場所でわたしは生きているんだ」という
素朴な喜びをそれぞれが感じるのです。

コミュニティーの崩壊が語られている今
人間的なつながりを基盤とした
真の意味でのコミュニティーを再生するために
文化芸術は大きな力を発揮します。
地域の文化性が根底に流れていない特産品には
魅力がないように
自らの固有の文化が見えないまちは
誇りうる「私の場所」にはなりにくい。

空襲のあとの焼け野原で生まれた悲しい恋を 一本の桜の木が見つめていました。

今、私たちの社会は
自らの地域を誇りうる拠り所を求めています。
えずこホールは、これから
文化でまちをつくる事業を始めていかれるそうです。
えずこシアターの活動は
その事業の方向性を指し示す指標である気がします。
根気強くメンバーひとりひとりを育てている
えずこホールの姿勢が
仙南圏域に遠い将来、とても強靭な何かを
圏民にとってかけがえのない「場所」を
育むことと信じています。

演出 吉川 由美


●えずこシアター/キャスト・スタッフ
遠藤 由香 伊藤 裕子
菅原由紀雄 パン売り 木田ともみ
小室真由実 幻の女 笹森 勇
鈴木 孝紀 幻の男 伊藤 良昭
中村真知子 主任・花 及川ひとみ
高山 芳恵 母親・花 二木 優樹
佐久間真弓 姉・風 佐久間亮一
木村 圭佑 弟・風 長谷野勇希
安藤 俊和 課長・風 南部真衣子
佐藤 砂織 会社員・花 松橋 尚美
伊藤真裕美 会社員・風 斎藤 秀一
曽根田浩子 会社員・風 大宮 学
斉藤 佳子 会社員・風 堀江 聖乃 花・スキャット
郷古 敏子 会社員・花 金綱 由紀
作間 誠志 業者・風 安藤あき子
渡辺 俊夫 職人 小原 邦子
竹内由佳 高校生・花 高橋 藍
大槻 愛 高校生・花 草野 朋香
長尾みゆき 高校生・花 鈴木 年明 僧侶
八島 里奈 高校生・風 村上可ズイ 老女
高子 香 老婆・花 村上 孝利 老人
石田 咲子 花・老婆    

 

●スタッフ
作・演 出 吉川 由美
舞台美術 阿部 仁史
舞台美術補 黒川 泰延
舞台美術制作 東北工業大学阿部仁史研究室
酒井 紀彦
佐々木 文仁
佐藤 香
佐藤 寛
塩井 晴子
島 幹則
沼津 美智子
御供 あき
渡部 朋彦
水戸 仁史
東北文化学園専門学校
猪股 有二
木村 俊介
宮城高等専門学校
畠山 直人
古山 智博
音楽監督 榊原 光裕
演  奏 柴生田 桂子(ヴァイオリン)
星  律子 (マリンバ・パーカッション)
菊地 みずえ(マリンバ・パーカッション)
舞台技術指導 釣舟 健二
鈴木 江美子(東北共立)
音響プラン・指導 荒井  豪(東北共立)
照明プラン・指導 鎌田  淳(東北共立)
助演出 中村 真知子(えずこシアター)
舞台監督 日下 博幸 (えずこシアター)
小道具 石田 咲子
山家 久美(えずこシアター)
照  明 佐藤 摩利子(えずこシアター)
音  響 小田部晃二郎(えずこシアター)
大槻 文彦 (えずこシアター)
衣  装 小室 真由実(えずこシアター)
モリ ユカリ
衣装制作 伊藤 真裕美
伊藤 裕子
高子 香ほか(えずこシアター)
広  報 高山 芳恵
中村 真知子
伊藤 良昭 (えずこシアター)
託  児 郷古 敏子(えずこシアター)
託児ボランティア
ヘアメイク 中塩 美津江
高松 春美
相原 美紀
記録協力 寒河江 敬一
宣伝美術デザイン 佐藤 正幸
宣伝美術写真撮影 えずこシアター・メンバー
記録スチール 熱海 俊一
会場スタッフ えずこボランティア・スタッフ
協  力 えずこ ミュージック♪アカデミー
(株)菓匠三全
協  賛 山崎製パン(株)仙台工場
制  作 安藤 あき子(えずこシアター)
監  修 玉渕 博之
山家 史弘
((財)仙南文化振興財団)

●プロフィール

□舞台美術/阿部 仁史

東北大学工学部卒業後、渡米。Southern California Institute of Architecture卒業後、同校講 師を経て帰国。阿部仁史アトリエ開設。東北工業大学、東北大学で教鞭をとる傍ら、多くの作 品を設計。設計作品の数々が次々と建築賞を獲得している注目の建築家。主な作品に白石市の 「しらさぎ橋」・利府町にまもなく完成する宮城県陸上競技場スタジアムなどがある。

□音楽監督/榊原 光裕

東北大学工学部卒業後、渡米。バークリー音楽大学を首席で卒業し、オスカー・ピーターソン 賞受賞。その後、仙台を中心に活躍。ミュージカルやオーケストラのための作曲、共演活動、 定禅寺ストリート・ジャズ・フェスティバルの企画・音楽監督を努めるなどその活動は多岐に わたっている。平成8年度宮城県芸術選奨新人賞受賞。

□演奏/柴生田 桂子

仙台市生まれ。桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業。ドイツ・デトモルト音楽院に留学。この 間、アメリカ・タングルウッド音楽祭やヨーロッパ各国の音楽祭に招待参加。ヴァイオリニス トとして、オーケストラとの共演、室内楽コンサートなど、全国で活躍している。

□演奏/星  律子

仙台市生まれ。国立音楽大学打楽器科卒業。武岡賞受賞。1990年より1年間ニューヨークで ジョン・ソロカ氏に師事。マリンバ奏者として、また、パーカッショニストとして、幅広いジ ャンルで活躍。

□演奏/菊地 みずえ

国立音楽大学打楽器科卒業。その後グループ「ティアラ」を結成し、8枚のCDをリリース。 現在、マリンバ、パーカッション奏者として活躍している。

□作・演出/吉川 由美

仙台ダンシング・ハード・カンパニー、ダンス集団Da+di/Doのプロデュース・作品構成・演出 を務めるほか、東北各地で、多くのオリジナル・コンサートなどのプロデュース・演出を手がけ ている。主な作品に青森県森田村での細野晴臣による大規模野外コンサート、6夜連続東北6県 で開催したコンサート「縄文回廊」、その他本吉、登米地域での住民演劇などがある。えずこホ ール・コーディネーターとして、ホールの運営にも携わる。



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