UZU・UZUインタビュー10

世紀末の今に求められてる歌を・・・


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由紀さおり・安田祥子



1999.8.26

Q、全国各地で公演されてどこでもほぼ満席という人気ですが、その人気の秘密といいますか、童謡の魅力はなんだとお考えですか?

安田−私たちもこういう状況になるとは思わないで始めたものですから、本人たちがいちばんびっくりしているんですが・・・、やはり皆さんが知っている歌ばかりだということ。それから、聴いてくださるかたの層が広がって、私たちは四世代コンサートって呼んでるんですが、広い層のかたがたが聴きにきていらっしゃるということ。それで日本語のもつ美しさ、歌のもってる力強さをつくづく感じますね。

由紀−みんなが知ってるんだけれど、あまり童謡を歌う人がいなかったということ。また、私たちは童謡歌手として昔から歌ってきて、こういう歌を実感をもって歌える最後の世代として知っててくださっているかたがたが来てくださるということ。それから、ものが豊かになって、その後バブルがはじけて、ふと心の豊かさって何だろうって思うような、世紀末の今に求められてる歌なのかなとも思います。

Q、歌うことの楽しさ、あるいは喜びということについて、どのように感じ、あるいは考えていますか。

由紀−それはやっぱりお客さんがいっぱい入ることですね(笑)。

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▲99.8.26.開催のコンサートより

安田−2時間ででチケットが売りきれたというような話を聞いたりすると嬉しいですし、公演終了後に握手会をしているんですが、そこで皆さんがいろいろな言葉を残していってくださる。その言葉に疲れがすっ飛んでしまうということはあります。

由紀−私は歌謡曲をずっと歌ってきましたが、お姉ちゃん(安田)との出会いによって、童謡やクラシックなど、姉のジャンルのエッセンスををもらい、テクニックも教わって、幅が広がったと思います。それで、歌謡曲の由紀さおりとは違った表現ができたときは楽しいですね。

Q、由紀さんは、テレビ、ラジオ、ドラマなどでも活躍されてるんですが、歌うこと、喋ること、演技することは、それぞれ違う表現だと思うんですが、どんなことを心がけていますか。

由紀−表現方法は違いますが、私が表現するという意味では同じだと思ってます。ただ、お芝居はアンサンブルだし、姉との歌とはまた違った、自分のいろんな切り口を見せられる面白さはありますね。それから、いろいろな世界でいろいろな出会いがありますから、刺激にはなります。それでその刺激を姉との歌の中にもってくると、それにまた姉が触発されるというようなこともありますね。まあ、私はもともと女優になりたいと思ってましたので、いつか声がで出なくなっても、ただそこにいるだけでかわいいおばあちゃんの役なんかやれたらいいなと思ってます。

Q、安田さんは、芸大の講師、そしてボイストレーナーとして若い人たちの指導もされてきたそうですが、歌うこと、音楽をするうえで大切だと思っていること、心がけていることがありましたら教えてください。

安田−まず心も体も健康であること。健康でないといろいろなものを柔軟に受け止めることもできないですからね。それと好奇心と探究心を常に持ち続けることが大切だと思います。

Q、歌以外のことも含めて、これからどんなことをやってみたいと思っていますか。

安田−そうですね。頭をからっぽにして、ぼやっと旅行したいですね(笑)。それから、なかなか時間がないんですが、お友達やいろんなかたの演奏会にもいってみたなと思ってます。

由紀−私の母が今年の5月に亡くなったんですが、その母に、この業界は忙しいか暇かどっちかしかないのよ、って言われてきたんです。この仕事は、今日やったら来年また来てほしいと思っていただけないと続かない厳しい仕事で、その繰り返しをずっとやってきました。それで2001年までのスケジュールは頭の中に描いてあるので、まずそれをやり終えたいと思ってます。

Q、手芸と読書がお二人の共通の趣味だそうですが、手芸の魅力ってどんなどんなところですか。それから、どんな作家、どんな本がお好きですか。

由紀−私が手芸をやるときはスランプのときなんです。手芸は一針一針自分で作りあげていくわけなんですが、今思うと、何かを求めているんだけれど、その求めてるものが手に入っていないっていうときにやってましたね。今はぜんぜんやってないです。目も悪いし、そんな時間があったら寝たいです(笑)。読書も、最近読む元気ないですね。活字を読むとすぐ眠くなっちゃう(笑)。 

Q、昔読んだ本でもいいんですが・・・。

安田−けっこう文学少女だったんですよ。石川達三とか太宰治とか読んでましたね。

由紀−青臭かったわね。(笑)。今は、フランクシナトラの伝記とか、シャーリーマックレーンの本とか、私マクレーンは大好きなんです。それから、こういう時代だからっていうこともあるんですが、仕事をやめたいと思うようなときにやめられない状況がいくつもあって、これは神様からそういう役目をいただいているんじゃないかなって思ったり、それから自分は何回も生まれ変わったうちの一つなんじゃないかと思ったりして、そういう系統の本をずっと読んだことがあります。それから、ものの意識のしかた、事態をどう捉えるかで全然展開が違うでしょう。私たちの仕事は、鏡の前で自分に暗示かけていかないとやれないようなところがあるから、そういった本も随分役に立ちました。シャーリーマックレーンも、人間が力を伸ばした先のもう一つ先をつかむというようなことを言ってますね。落ち込んでるときって、お客さんの前に立てないの。お客さんが怖いのね。そういう自分の鍛錬のためにそういう本をいっぱい読みました。 

安田−編物とかパッチワ−クのようなものって膝の上でできて、ぱっとやめて次へすぐ移れるっていう感じでけっこうやってたんですが、さっきも言ったように肩こりはひどいし、目は悪くなってきてるし、拡大鏡でも使わないできないですね(笑)。本のほうは、神谷美恵子さん、ライの病院で看護などをされてる人ですが、そういった本を今読んでます。あとはそいった病院で私たちのCDがミュージックセラピーの音楽として流されている。といったことを聞くいたんですが、すごくうれしいですね。

由紀−お客さんの前で歌えなくなったら、最後は、そういった施設でミュージックセラピーでとして歌うことができればいいなと思ってます。

-ありがとうございました。

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▲コンサートシーンより。熱唱する二人

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